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ファビアノ・L.d. オリヴェイラ著『グリーンウェッジ・アーバニズム』



2025.4.1 -
「見えない川」に
みどりをさしこむ流域治水

田園調布4丁目(丸子川B流域)

東急財団「多摩川の美しい未来づくり」助成の2025年度事業( >> MORE)として「『見えない川』にみどりをさしこむ流域治水―<グリーンウェッジ>を<ブルーリンク>で結ぶ 緑と水のネックレスを軸とした小規模・分散型緑地からの流域治水への市民参加モデル」案をご採択いただきました。
多摩川水系・丸子川B流域を調査対象に、なかでも田園調布4丁目を実践地域として実地調査を行い、都市の雨水と小さな緑地の関係とこれからの可能性を探ることで、身近な暮らしの場から流域治水へと寄与するモデルを市民科学として追求します。 この研究は、ミラノ工科大学・建築都市研究科教授ファビアノ・レメス・デ・オリヴェイラ氏、および一般社団法人ランドスケープ・コンサルタンツ協会(CLA)「研究ワーキンググループ」との連携体制で実施します。


河川と流域の関係(概念図)



雨をうけとめる私たちの都市で、平らな場所はほとんどありません。それは雨が「どこかに流れる」ことを意味しています。その「どこか」への道すじを教えてくれるのがあらゆる傾きです。
いまや都市のほとんどを覆う屋根と道路のように、空からの雨をまず受け止めるほとんどの表面は傾いており、その傾きは、自然な地形にもとづくものもあれば、その自然由来の傾きのなかでさらに水を導くためにつくられたものもあります。現状、これらの傾きは 下水と河川へと速やかに水を流すようにつくられていますが、気候変動による雨量の増加はこのスムースな排水をめざす従来の治水の限界を明らかにしました。2019年の台風19号による多摩川地区の被害の多くもそのひとつといえます。
これからは、これらの排水系統への負荷を軽減するために「流域」といわれる陸地で水をゆっくりと留める努力が求められています。流域はあまりに漠然としていて見えにくい存在ですが、川よりも遥かに大きく広がり、身近な暮らしのなかにあります。あちこちに降りおちた雨は小さな水の束となって少しずつ下水や河川に流れていき、特に下流においては家財や人命すら脅かしかねない大きな水の塊になっていきます。流域も含めた雨の流れ全体のなかで水害を抑止しようとするとりくみが「流域治水」であり、本研究はこの総合的な治水への参加方法を身近な暮らしのなかの緑を通じてともに発見することをめざします。


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